セミナー・CSW研修
トップ > セミナー・CSW研修 > コミュニティソーシャルワーク実践者養成研修 > 過去の研修一覧 >
第3期 コミュニティソーシャルワーク実践者養成研修

第3期 コミュニティソーシャルワーク実践者養成研修

1月26日(土)~27日(日)の2日間、第3期コミュニティソーシャルワーク実践者養成研修〔基礎編STEP2〕が開催され、20名が全課程を修了されました。

コミュニティソーシャルワーク実践者養成研修は今回よりのべ4日間にしましたが、本研修の特徴は変わらず、自らの実践にひきつけて学び、グループ討議を通してより実践的にCSWの視点を深めていきました。研究所では今後さらに研修を継続するとともに、コミュニティソーシャルワーク実践の先導的役割を担う修了生同士のつながりを大切にし、現場の皆様とともに実践をより豊かに育てる事業に取り組んでいきます。

4-1.jpg

2008年1月27日 第3期修了生と研究所研究員で記念写真

参加者メッセージ

鯉渕 百合子さん(佐倉市社会福祉協議会)

真夏と真冬の2日間ずつ、職場から離れてじっくりと学ぶ機会を得ることで、ついあわただしさに紛れがちな日ごろの仕事を振り返り、自分と向き合うよい機会となりました。とくに、「STEP2」2日目のネットワーク会議ロールプレイは、ふだんとは違う立場になりきる(!!)ことで、まったく違う角度からケースを見ることができました。

コミュニティソーシャルワークは、住み慣れた地域でのよりその人らしく豊かな暮らしを、住民と専門職とが対等に関わりながら生み出し、創り出してゆくことだと思います。チームアプローチでは、ご近所の「世話焼きさん」からさまざまな専門職まで、互いの立場と役割の違いを理解しながら心をひとつにして取り組む必要があります。ボランティアコーディネーターとして日々、小地域福祉活動に携わる中で、「声なき声」をいかに聴きとるか、異なる立場の人たちをいかにつなげ、巻き込むかをつねに考えながら、地域と向き合ってゆきたいと思っています。

最後になりましたが、先生方とスタッフのみなさん、そして志を同じくするたくさんの仲間との出会いに心から感謝いたします。

参加者メッセージ

村田 剛さん(美郷町社会福祉協議会)

私は現在、地域福祉業務に携わる機会が少なく、この研修においても始めは「大丈夫かな?ついていけるかな」と分からないことだらけでしたが、これからの地域福祉を展開していくためには必要な研修と思い参加させていただきました。

さすが、他の受講者の方々は、地域において第一線で活躍中の方々ばかりでした。研修の内容もハイレベルで、当初、私にとっては、雲をつかむような話でしたが、各地域におけるソーシャルアプローチの実践例や日本地域福祉研究所の国に対する働きかけが法律改正まで及んでいるという講演を聴いているうちにそれは雲ではなく実現できそうに思えてきました。しかし、講師の先生方の講演の中に出てくる横文字の理解に苦労しました。そうして、プランニングシート及びエコマップの作成等を学んでいく内に、地域ケア会議の重要性、その他関係機関との連携が欠かせないことを改めて実感しました。その中でも、ワークショップでのネットワーク会議の開催(ロールプレイ)は私にとって初めての経験で、その会議に誰を招集するかによって大きく会議の内容、今後の方向性が変わっていくのには驚かされました。

長いようで短かったこの研修会で、私は、多くの方々と知り合い、多くのことを学びました。しかし、地域においての課題はまだまだ山積です。この研修会で学んだことを地域福祉向上に生かして、少しでも力になれたらと思います。今後ともご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。皆様ありがとうございました。

講演

「これからの地域福祉のあり方とコミュニティソーシャルワーク」(抜粋)

2008年1月27日(日) 9:30-10:30

講演者 大橋 謙策(日本地域福祉研究所理事長)

4-2.jpg

今日は、昨年10月に設置された厚生労働省社会・援護局長の検討諮問委員会"これからの地域福祉のあり方検討会"の話とコミュニティソーシャルワークとの関わりについてお話をしたいと思います。このあり方検討会は、実は遡ること約1年前から局長自身が、めぼしい実践をしている社協を中心に視察に歩いていて、同時にかなり精力的に関係者のヒヤリングをされ、周到な準備が行われてきたものです。この中身は全部ホームページに載っておりますので、それはぜひ見ていただきたいと思います。今のところ3月末までに報告書をまとめる予定ですが、今の感触からいけば、多分法律改正に踏み込むのではないかという感じです。

1つは、ようやく、制度を作っただけではどうも問題は解決できないということに気が付きはじめたということです。機関委任事務から自治事務の時代になって、社会福祉が基本的に在宅サービスを軸にした地域自立生活支援という考え方になってきますと、どうみても市町村においてソーシャルワーク機能ということを展開しないとならない。制度と制度の狭間に落ちていることがいっぱいあるわけです。地域での自立生活を支援するという場合の安全と安心の問題とか、犯罪の問題とか、防災の問題とか。それから、多問題家族のこととかマイノリティのこととか、例えば、在住外国人の問題は非常に複雑で深刻なのに、家族全体を総合的に見るアプローチが全然できていないじゃないか、アウトリーチ型のニーズキャッチになっていないじゃないか、そういうことです。

それから、2つ目の問題は、サービス開発機能です。例えばわれわれは、子ども家庭支援センターというものを東京都の社会福祉審議会に提案して、それが通りました。その影響を受けて国の児童福祉法も改正になったわけですね。その時に、国の児童福祉審議会のメンバーに入っている人たちが、国がやっていないのになんで東京都がやるんだ、児童相談所のシステムで対応できるはずだ、と言っておりましたが、本当に対応できると思いますか。我々は、国が先だろうとどうであろうと気がついた人が先にやればいいじゃないか、こういう話をしたわけです。日本の児童福祉法制は、戦後いち早くできた、ある意味最も民主的な法律ですが、要保護児童とサービスを提供するところが点と点で結ばれるだけです。それをシステムとして、面として支えるという仕組みがほとんどない。

また例えば、サービス開発するときに、お金をどうするかという話になる。行政から補助金が出ないとやらないという発想になる。これも困る。東京の狛江などでは「お誕生日ボランティア募金」というようなことを考えたり、岩手県の湯田町、今の西和賀町では「ふるさとあったか募金」をやろうとか、自分たちで金を作り出そうと工夫した訳です。それはささやかな実践だけど、考え方はとても大事なことです。

今度のあり方検討会で1つの大きな問題は、共同募金制度を変えるということです。その方向は、共同募金をコミュニティ・ファンドにして、自分たちでお金を集めて自分たちの地域で使っていきましょう、という考え方です。地域で使えるようになれば、住民の安心感もますわけです。

3つ目は、そういうことをやるときに、インフォーマルケアというのがすごく必要だということに気がついてきたことです。特に防犯とか防災、安全、安心の問題になってくると、この問題は非常に大きな意味を持ってこざるを得ない。例えば24時間緊急対応、電話相談できる仕組みが、随分あちこちにできています。長野県茅野市も、富山県氷見市も、広島の庄原も、みんな社協の職員が携帯電話をもっています。誰かが地域の中で緊急の時に電話をしたら受けとってくれるという人がいる、その安心感というのは大変なものですよ。電話宿直制度です。お金はかからないですよ。

しかも、システムを作っただけでは問題解決にならないことがある。人間誰しもそうですが、誰かに認められている、必要とされているということがすごく大事でしょう。自分を支えてくれる準拠集団、帰属意識。そういう機能というのがあるわけです。だから居場所とかサロンとかというのは、単にそういう場所の問題ではなくて、その機能が何かということが大切なのです。

そういうインフォーマルケアというものをどのように開発し組織化できるのか、という問題もソーシャルワークにとってはかなり重要な課題になるのではないかということです。

それからもう一つは局長が一貫して言うのは、住民主体、住民参加のことです。例えば、一番典型的なのは東京の狛江市ですけど、狛江市は市民福祉審議会というのを作っていて、社会福祉行政に関わる重要なことはそこにかけなければ行政はやれないようになっているんです。そこには住民の代表も入ってきます。そういうのをやれていない所というのは、やっぱり弱いです。この違いというのは、結構大きいわけです。

また例えば、社会福祉協議会というのは住民総会をやらないじゃないか。住民の発言する権限が社協にはどこにもないじゃないか。住民主体の社協と言っているけれど全然違うじゃないか、それで、なんで会費をとっているんだという話にもなるわけです。そういうところからずっと今のシステムを見直していけとなると、どうも法律改正まで行くかなという感じで、そんなことを今論議しているということです。

こうしたことは、われわれが研究所でいろいろな地域福祉計画に携わりながらずっとやってきたことで、アウトリーチ型の住民座談会でニーズキャッチをしてきたこともそうですし、あるいは条例で審議会を作れということもそうですし、あるいは茅野の保健福祉サービスセンターのようなソーシャルワークを展開できるシステムを作れということもそうですし、いろんなことが今回の中には盛り込まれているかな、という状況でございます。

以上、コミュニティソーシャルワークの機能を、これからの地域福祉のあり方検討会の中でどういう論議をしているかということを中心に、今日は話をさせていただきました。

(JICSWニュースNo.18から抜粋)

Page Top