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理事長メッセージ

「福祉でまちづくり」を実現する
   コミュニティソーシャルワーク実践

特定非営利活動法人 日本地域福祉研究所 理事長 大橋 謙策

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1 ミッションは、コミュニティソーシャルワークの普及

  日本地域福祉研究所(以下、研究所と略)は、日本社会事業大学大学院を修了した研究者や地域福祉の実践者を中心にして、関係者の協力を得て、1994年 12月23日に創立されました。全国の草の根の地域福祉実践を励まし、支え、その実践の理論化、体系化を図りたいとの思いからです。1999年1月には、 特定非営利活動法人(NPO法人)の認可を受け活動しています。
 研究所は、社会福祉の法に基づく制度にとらわれないで、地域住民の自立生活支援や地域づくりを展開している全国各地の市町村社会福祉協議会を主な実践 フィールドとして活動してきました。その後、1990年代の後半からは、地域自立生活支援を実践する際の主な理論となるコミュニティソーシャルワークの普 及・研究と人材養成を主眼として活動を発展させてきています。
 研究所のミッションは、コミュニティソーシャルワーク実践を普及して「福祉でまちづくり」を実現することです。そのために、地域住民が主体となって、住民の生活を守り、向上させるために、福祉サービスを必要としている人々を発見し、それらの人々を排除することなく包摂し、支えられるケアリングコミュニティづくりに取り組めるよう支援する活動を大切にしています。

2 実践フィールドと深く関わる

 研究所は、地方自治体(市町村)レベルでの実践を主なフィールドとして、実践の理論化と理論の実践化というサイクルを目指して取り組んでいます。
 その一つが「バッテリー型研究スタイル」ともいえるものです。研究所は、現場で働いている職員の実践上の悩みや疑問に対して、ヒントやアドバイスを提供 する。職員はそれを基に創意工夫しながら実践する。研究所はその実践をスーパービジョンするという研究者と現場職員とがバッテリー(投げ手と受け手)を組 んで実践的研究を行う方法です。
 二つ目は、「計画策定アドバイザー型研究スタイル」ともいえるもので、市町村行政や社会福祉協議会の計画づくりに関わる際に、地域の問題を住民座談会な どの手法により発見し、その解決方法の考え方やシステムを演繹的に提示し、地域の特性に合わせて財政的な裏付けのある計画策定を支援するなど、そのシステ ムの具現化や実践の開発をスーパービジョンしながらフィールドと関わる研究方法です。
 研究所は、いつも実践的研究のフィールドを大切にしてきました。定期的・継続的に関わってきている機関は社会福祉協議会のみならず、都道府県及び市町村行政とも深く関わりつつ、現場職員の思いを受け止めて、それを支え、励まし、支援することを目指しています。

3 いま必要とされる研修と研究を提供する

  研究所では、日ごろから協力関係の深い市町村において、毎年ワークショップ型のフィールドワークを取り入れた「地域福祉実践研究セミナー」を全国各地で開 催しています。また、コミュニティソーシャルワークの考え方や実践力を修得する「コミュニティソーシャルワーク実践者養成研修」や春期・冬期の公開セミ ナーも開催しています。近年、セミナーや研修の参加者は、社会福祉協議会職員に加えて、地域包括支援センター職員、保健師、介護支援専門員、社会福祉施設 職員、成年後見を担当している弁護士や司法書士など参加者の職域が広がってきています。
 また、年間を通じて、全国各地の市町村や社会福祉協議会などと委託契約を取り交わし、地域福祉計画の策定や福祉教育の取り組み、コミュニティソーシャルワーク実践のスーパーバイズやコンサルテーションも担当しています。
 さらに、コミュニティソーシャルワークの理論の普及や研究を目的として、雑誌『コミュニティソーシャルワーク』の発刊や各種資料の提供も行っています。
研究所は、今後ともコミュニティソーシャルワークに関して現場が必要とする研修や研究を積極的に提供・開発していきます。

4 国際交流活動にも取り組む

  研究所では、発足当初から"グローカルな取り組み"が必要と考えてきました。近隣諸国である韓国や中国との友好・連携とともに、日本国内の在住外国人の 方々とも「平和共生」できることを常に願って活動してきました。その一環が1997年から6回続けて日韓地域福祉セミナーを韓国各地で開催したことです。 また、韓国と日本との間で交換研修にも取り組んでいます。
 いま研究所には韓国在住の特任理事が3名います。特任理事は韓国の大学や社会福祉法人の理事長等として活躍しています。

5 コミュニティソーシャルワークが未来を創る

  これからの社会福祉の方向は、すべての人が地域で自立した日常生活を過ごせるように支援できるコミュニティソーシャルワークがメインストリームとなりま す。そのためには、コミュニティソーシャルワークを展開できるシステムを各市町村に構築することが重要です。それが「2025年問題」や「限界集落、消滅 集落問題」解決の鍵となります。市町村における地産地消型の地域循環型経済を展開する「福祉でまちづくり」にも繋がる重要な課題であると認識しています。
 コミュニティソーシャルワークは、従来ややもすると陥りがちであったカウンセリング的ケースワークとは異なり、地域における問題発見から問題解決とその サービス開発まで住民とともに実践するという大変ダイナミックな活動です。その楽しさ、おもしろさ、難しさに多くの若者や専門職が気づき、関心をもち、こ の発展性のある活動領域に参加してくれることを願っています。

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